以下の埼玉県児玉郡の林業家、大森耕介(仮名)さんのお話で了解していただけると思います。
| 荒れた山をなんとかしたいんです。自分の山(針葉樹林)はかなり大きく育っています。大木の森には人知を超えた何
かがいる気がするんです。それがあってゴルフ場にすることに反対しました。そのことで山を売れなかっ
た周りの人の山にも責任を感じます。自分の山だけ手入れをしていても荒れる一方の山を
見ていると虚しさを感じます。それで、森林組合に作業班を作って、人を育てようと
思ったのです。それから7年ほど、若い後継者が育ってきています。
黒木(杉、ヒノキなどの人工林)は50年程度で皆伐するなんてとんでもないことです。50年はまだ義務教育が終わったぐ らいです。間伐を繰り返して大木にしていくことこそ目指さなければなりません。若い木を皆伐する と根張りが充分でなく、土壌が流出して、山が崩れ、回復するのに何百年もかかるこ とになります。50年以上の木は黒木でも、切っても隣の木から根が養分をもらって、形成 層が生き続けるから、山が崩れることはありません。針葉樹の森のあちこちに、広葉樹が芽を出して、混合林になることも目指したいものです。 広葉樹は皆伐を十数年で繰り返していかなくてはなりません(30年以上もたつと萌芽しにくくなる、その場合は、腰高で切ってやった方が萌芽しやすいです)。陽が当たるこ
とで、様々な種類の草や花や虫が生息できるのです。数十年前にはよくタカをみかけました。伐
採して明るくなったところに、うさぎなどが出てきたところを捕獲していました。
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炭焼き
炭化=有機物を空気を遮断、または最小限の空気のみで加熱し、熱分解させ、純炭素に近づけてやること、です。
炭(木炭)=保存が効きます。燃やしても煙が出ません。水分が少なく、赤外線で肉、魚が表面がパリッと焼けます。温度調節がうちわで簡単にできます。薪よりカロリーは7倍になります。多孔質、灰分はミネラルを多く含みます。このため最近の用途、水浄化、脱臭、調湿、土壌改良等に有効です。/再生可能な自然エネルギーで、山がそのまま残って木が成長すれば燃料として燃やして出た分のCO2を吸収してくれるので、CO2の収支はゼロです。
炭焼きと里山――原木として適している木はクヌギ、コナラなどのいわゆる雑木林の代表的樹種です。これらは伐採すると切り株から萌芽し、また10数年後には立派な木に成長します。部分的に皆伐することで、陽が入り、山が元気になり、生き物も多様化します。縄文以来、放っておけば常緑樹の森になるところを、人が伐採して(二次林)、手を加えて遷移を止めてきたのが、落葉広葉樹の雑木林=里山です。炭焼きは里山を守る営みの大切な一つです。
○クヌギの山について
このあたりではクヌギは植林して育てたそうです。地域と地質によっては自生する場所もあるとは思います。
| またまた、埼玉県児玉郡の林業家、大森耕介(仮名)さんのお話です。 |
| クヌギの植林は、昔から、畑ののち桑を植えて、それも生育が衰えてきたところ に、クヌギを植えました。クヌギはナラなどに比べて格段に生長が早いが、ナラなどに比 べてより陽を好み、肥えた土が成長に不可欠の木です。つるにも他の木よりも弱いです。南は もちろん東でも西でも、隣に黒木の山があると生育しないと考えた方がいいです。 植林は苗でより、ドングリを直接植えた方がいいと思います。クヌギの根は直根のため、苗だ とどうしても植え替える時 に、まっすぐ伸びた根を切るか傷めてしまうため、植えた年の伸びが少ないんです。 1年生のクヌギ苗は、活着した後、翌年に台伐りをすると良いです。すると切られた前の高さまで一気に伸びます。それをしないと周囲に負けて曲がりくねった木になってしまいます。 |
炭の種類――消し方、正確には炭化の終了の仕方で大きくは黒炭と白炭に分けられます。黒炭は窯を密閉して終了し、白炭は窯からかき出して、灰をかけて終えます。黒炭は火力があって、火付きがいいが、火持ちが劣ります。この逆で火持ちがいいのが白炭です。ただ焼き方によって、黒炭でも白炭に近い物もあれば、白炭でも黒炭に近い物もある。/黒炭の横綱は茶の湯炭、白炭は備長炭です。/黒炭で太さにして、原木の約7割になります。
この国の炭焼き――白炭は中国文化圏のみにしかありません。一方、黒炭は様々な焼き方で世界中で焼かれていますが、ともにこの国の技術は世界最高と言われます。ただ、1960年前後の燃料革命+拡大造林で多くの炭焼きさんが山を下り、現在60代後半の方達を最後に、それ以降の世代は極少で、技術の継承は風前の灯火となっています。
窯
窯作りの最終段階、細かい木で天井の形作り
窯作りは、側壁を作って、中に材を詰めて、鉢型にして、土をたたき載せて作ります。土を載せる作業はひび防止のため、一日で行うため、多人数が必要です。土は粘土と窯で使った焼き土と1割セメントを混ぜますが、難しいのはこの配合です。粘土が多いとひびが大きく出るし、焼き土が多いとぼろぼろ落ちてきてしまいます。
窯作りについて詳しくは、炭焼日誌ファイル@窯作りを見てください。
炭の重みについて/木の持ってる性質そのものによってまず、違ってきます。樹種で言えば、茶道に使われるクヌギとナラではクヌギの方が断然重いです。カシもナラよりは重いです。同じ樹種でも、木の育ち方、日当たりや土によって重みは違ってきます。日当たりが良す
ぎて、成長が早すぎても重みがありません。一方、日当たりが悪すぎても、病気など
になって半分枯れたような木になって軽くなります。
また、伐採後、乾燥期間が長すぎると軽くなります。
あとは焼き方によって、しっかり焼けて重たくするのが炭焼きの腕の見せ所です。炭
化が不十分でも、重いですが、これは臭いが強かったり、パチパチ跳ねたり、さらに
は煙が出たりする不良炭です。一方、焼けすぎると燃えてしまい、軽い炭になってし
まいます。重たい炭の方が、火持ちがいいです。
私としては、乾燥状態や気温など気象条件も影響しますので、毎回まったく同じよう
に焼くことはできませんが、よく締まった重い炭を焼くことをめざして、これからも
精進してまいりたいと思っています。 またそもそも、窯がまったく同じということは有り得ません。大きいのは土が違うことです。 私の窯= 原木約2t、炭400k、粗木酢液約100リットル、名前があるとすると埼玉2号黒炭窯です。炭の芸術品と言われる茶道炭(茶の湯炭、菊炭とも言われる)を焼くことをめざしていますので、原木は最適はクヌギで、次にコナラ、そして、次ぎに燃料として良炭になるシラカシなどのカシです。
この障壁を作らない人もいます。私は作った方が収量が多く、良質な炭ができると思っています <3日目> <8日目〜9日目頃> このねらしにかかるタイミング、壁を壊すタイミングが一番難しいです。早すぎても、炭が柔らかくなるし、遅すぎても炭素分が燃焼して、軽めの炭になり、しかも収量も少なくなります。燃やした時に揮発分が少ない、火持ちのいい堅く、重い炭になるかどうかの大きくはこのねらしにかかっています。 <13日目以降>
いい炭――堅く、重みがあって、いい音がします。火持ちがして、煙が出ず、臭いがしません。臭いがなく、火持ちがいいとCOもゆっくり出るので、室内で使うのに適しています。重みがあっても表面や樹皮の中が茶色の物は、炭化が足りず、揮発分が多く、燃やすと臭いがします。多くの輸入炭がこの種の炭です。炭化温度が高ければ高い程、揮発分は少なくなりますが、水分を吸着しやすく、激しく跳ねることがあります。
炭化時間――炭化が中断しない程度に空気をぎりぎりに制限し、炭化に時間をかけることがいい炭を焼く原則です。ただ、最後のねらし(精練)は時間だけではなくタイミングが重要です。
炭材――クヌギ、ナラ、カシが良材です。木が水分を吸うことが少ない、11月から3月に伐採します。太さ10cmの物で3週間から一ヶ月前に伐採し、窯に入れる直前に炭材の長さに切ります。この玉切りが早いと切り口から乾燥して、炭になった時皮がはがれます。細い物程炭化しやすいです。太さ10cm以上の材は割ります。炭焼き作業の流れ
私の窯は、炭にして約400kの窯で黒炭を焼きます。そしてこれはあくまで、炭焼き始めて6年目の私の現在の炭焼きやり方です。炭焼きは、地域はもちろんすぐ隣の窯でも焼き方が違ってくる程、いろいろな焼き方があります。そのあたり農業に似ています。
それに、同じ窯で焼いたとしても、窯の乾燥具・温度、材の太さ・乾燥具合・樹種(さらに樹種が同じでも個々の木の個性が違う)、気象条件(湿度・温度・風の強さと向き)などによって毎回炭焼きの流れは違ってきます。「同じ炭が出ることはない」、「100点満点の炭焼きは何度やってもできない」と言われる所以です。その中でなるべく近い水準の炭を焼くことが仕事としては求められます。<1〜2日目>

搬入(立て込み)−−敷木を敷き、立て木を立て込み、上げ木を乗せます。敷き木は1cm以下の細い枝を厚み10cm以上、窯底に敷きます。立て木は長さ93cmを水掃けを良くするため、根元を下に立てます。奥から細い物から順にだんだん太い材になるよう太さをそろえて立て込みます。窯の奥程温度が上がりにくいし、太さがバラバラでは太い材の近くの細い物は灰になるからです。上げ木は、3cm〜10cmくらいの太さの枝、または割木を30cmくらいに切って立て木に乗せます。上げ木は天井までできるだけ隙間なく、詰めます。窯口近くや側壁近く、天井近くは灰化しやすいので、いい炭にしたい物はここを避けて入れます。
下から敷き木、立て木、上げ木が見えます

土で塞ぐ−−良く練った土で窯の内壁に沿って上部に20cm空気の通り口を残してほぼ垂直に厚さ7cmの壁を作ります。続いて、窯の外壁に沿って、上部半分を石、レンガ、土で覆います。残った下部半分に薪をつめます。これが次ぎの「予備燃し」のかまどになります。


予備燃し――火を入れて、出てくる煙がほのかに暖かくなるまで、たき火をします。薪の乾燥度によっても違うがだいたい2時間程です。その後、煙突を乾燥草で覆い、窯口も2cm×20cm程の通気口だけ残して、丸一日近く、蒸し煮します。窯全体の温度を均一にして、原木の乾燥をゆっくりと均一に行うことで、炭の皮付きを良くし、茶道炭の菊割れ(ページ4の写真を見てください)を細かくできます。皮が付いていると火着きがいいし、見栄えからしても、茶道炭の絶対条件です。
翌日も同様に2時間程焚き火をします。
口燃し−−通気口を20cm×30cmに広げて、薪を入れて、再び着火します。急激には燃やさないことです。徐々に薪を追加します。平均5時間程で煙突口の温度が80度近くで、薪を少しくめて、通気口を再び2cm×20cmに、煙突口も同じくらいの大きさにして、焚き火を終えます。
<3日〜7日目頃>
自然炭化期−−82度以降は、順調に行けば、焚き火の必要なく、原木が自然に炭化していきます。90度−150度が木酢液採取適期です。
ねらしと窯止め−−「ねらし」、つまり精錬作業とは、ガスを燃やすことで炭化を完了させる作業です。地域によっては「あらし」とも言います。煙突口温度300-350度で、煙も完全に「切れて」(無色透明になる)から、約1日以上後、ガス臭も弱くなり、煙突口が灰色がかって来た時に始めます。
作業手順は、通風口と煙突口を徐々に開いて、空気の出入りを多くします。ガスの刺激臭が弱まると、内側の壁を長い鉄棒で突っついて崩します。中の様子を見ると、下から徐々に上へと明るく輝く部分が広がっていきます。窯内部全体が明るく輝いて、煙突口が青灰色で、ガラス状の結晶が付き、臭いが薄くなったことを確認して、窯を密閉します。この密閉が不十分だと炭が消えきらず、ずっと燃えつづけることになります。
なお、窯止めの温度は煙突口で380〜430度超です。
写真は窯止めの頃の煙突。青灰色で、ガラス状の結晶が付く。

写真は 窯口から見た中の様子(左上が壁を壊したばかり 右上が窯止め直前)
下は窯止めしたところ

炭出し
| 「日曜炭やき師入門」 岸本定吉・杉浦銀治 総合科学出版 | 私の炭焼きバイブル。今でも時々、この本に教わります |
| 「木炭の博物誌」 岸本定吉 | 炭の歴史、各地の生産地の紹介、茶道炭や備長炭についても詳しい。炭焼きや炭についても、しっかり深みがある内容です |
| 「環境を守る炭・木酢液」 炭やきの会編 | 特に、炭についての化学的分析が参考になる |
| 「炭やき教本〜簡単窯から本格窯まで」 恩方一村逸品研究会編・創森社 | 耐火セメントを使ったモデル窯の作り方が費用まで出ていて詳しい |
最終更新日 : 2006/3/14